(short)ストーリー①
『まさに「個性派の集まり」だよな』。
農業史・農村社会研究室をひとことで表す言葉として、これほどまでに的確かつ明解な言葉もあるまい。と、彼は言う。
「いや、でもよ。俺みたいな普通な奴もいるぜ?」
いや上手いこと言ったわ俺・・と自分の言葉にうっとり、余韻に浸っている様子。俺の言ったことをまるっきり聞いていない。
「いや、だから、俺みたいな普通の人もいるだろっ!」
少し腹が立ってしまって、もう一回同じことを言う。
彼はようやく、「ん?」ととぼけた調子で、顔を赤らめ鼻息を荒めている俺を見る。そしてふふっと、急に優しいパパみたいな顔になって、「まあまあ」と僕の肩を優しく叩きながら言った。何が「まあまあ」じゃ・・・・。俺がテメ―を楽しませようと、一発ボケをかましてやったのに、テメーはそうとも気づかず、しかも2度もボケを言わせておきながら、しまいには真面目に受け取って「まあまあ」とはよぉ~・・。なんだよこの展開、俺がすげー子供みたいになって終わったじゃねえかよ。「お前も普通じゃないやーん!」てなツッコミの期待も加えて、その時俺は、2、いや3重の意味で気分を害した。