うまの横顔

都会で刺激的な生活を送る僕と、田舎で何の変哲もない生活を送る猫。

村上春樹とボケた爺さんの話

村上春樹は難しい。ずっとそう思っていて読むことはなかったのだけれど、最近読む機会があった。大学の図書館で、読む本を探している時にたまたま、『風の音を聴け』が目についたのである。僕は別段読む気が合った訳ではなかったのだが、他に読みたい本が無かったので、その本を手に取り、カウンターに運んだ。

食わず嫌いが多い僕は、何かといって損をしているようである。具体的なことがらは思え出せないけれど、食ってみたら意外と美味かった、今まで食わなかったとかマジ損したわ、みたいなケースが最近やたらに多いのである。なんとなく今まで食わなかったというものを、口にしてみよう心がけるようになってからの話である。

さて、僕が初めて読んだ『風の音を聴け』は、村上春樹の処女作で、薄っぺらな本である。その後、僕は『ノルウェーの森』とか『1965年のピンボール』とか『色彩を持たない多崎つくる』とかを、この本から続けざまに読んだが、一番印象に残り、まじで意味わかんねえと思ったは、最初に読んだこの本であった。

村上春樹はたしかに難しい。これは間違いない。表現が難しいとか、文章が難解であるとか、そういうことではなく。ただ、面白いのもまた事実。独特の世界観が読む人をひきつけ、決して飽きさせない。

先入観でものごとを決めてしまうことほど、つまらないこともない。90のボケた爺さんの話を聞くことくらいつまらない。いや、ボケた爺さんの話がつまらないなんて決めつけて。それもやっぱり先入観ではないか。

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