うまの横顔

都会で刺激的な生活を送る僕と、田舎で何の変哲もない生活を送る猫。

過去と未来

 五厘に刈り上げられて青くなった頭、墨で書かれたような太くて黒い眉、日に焼けて茶色くなった顔。絵にかいたような野球青年であった私は、高校三年間、泥まみれになって白球を追う「激しい」日々を送った。朝早く、眠気眼でグラブを握り、夜遅く、疲労紺倍になりながらもバットを振り続ける日々。大変だったのは練習だけではない。体育会系特有の厳しい部内の規則、上下関係も実に大変なものだった。監督・コーチはもとより、とりわけ先輩たちが非常に怖い存在だったので、グランドの外でも戦々恐々とする日々だった。
 こうした辛くて苦しい高校三年間を、過去の出来事として語れる時が来るとは、夢にも思わなかった。当時は今が全てで、先を考える余裕さえなかったのである。時間は止まらずに流れるもので、「今」はすでに「過去」になっていることを、私はこの経験から知った。

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